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白河三兎『私を知らないで』

この小説に書かれているのは何か?家族か、恋愛か、青春?成長、共感、嫉妬、孤独、愛情、友情、希望、絶望?全部だ。20の章に細かく分けられた物語は、その一つ一つが起承転結の立ったエピソードで成っており、メッセージ性もある。エピソード同士は深くか...
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犬村 小六『とある飛空士への追憶(単行本)』

これがライトノベルなのか!?『とある飛空士への追憶』はライトノベルレーベルであるガガガ文庫から出版された。それが人気を博し、映画化がなされたことで、加筆修正を行って新装版が出された。新装版では、文庫にあったイラストを省き、より一般小説らしい...
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米澤穂信『いまさら翼といわれても』

久しぶりの古典部シリーズ、安定の面白さ。連作短編なので、普通ならいくつかいまいちなものが混ざっているものだが、すべてでクオリティが高い。「箱の中の欠落」『匣の中の失楽』をもじっているのかとは気付いたが、読んだことはないので内容に関係があるの...
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住野よる『また、同じ夢を見ていた』

『君の膵臓をたべたい』でデビューした住野よるさんの2作目。『君の膵臓をたべたい』は病気の女の子の話、今回は「幸せとは」というテーマに真正面からぶつかった作品。どちらも珍しくない設定だが、書き方でこんなに新しくなるんだと思い知らされた。2作目...
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山本弘『アイの物語』

豊崎由美のあとがきに共感する。山本弘は物語で世界を変えようとしている。『アイの物語』は強いメッセージのこもった本だ。あらすじの通り、アイビスが読み聞かせるのは6つの物語。「宇宙をぼくの手の上に」「ときめきの仮想空間」「ミラーガール」「ブラッ...
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住野よる『君の膵臓をたべたい』

住野よるさんは新人だそうだが、次作が出たら絶対に買う。この作品の文庫が出たらまた買ってもいい。仲良く暮らしていた恋人たちに不幸が訪れて、最愛の人が病気になり死んでしまうというのは、よくある話だ。現実でよくあったらたまらないけど、小説の中では...
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中田永一『百瀬、こっちを向いて。』

中田永一というのは乙一の別名義だそう。本書の中では乙一について触れていないので書こうかどうか迷ったが、中田永一の作品を気に入った人であればいずれ知ることになるので書いてしまった。「百瀬、こっちを向いて。」「なみうちぎわ」「キャベツ畑に彼の声...
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ジェームズ・クラベル『23分間の奇跡』

「人間の考え方を変えたり、何かを吹きこんだりするのは、なんと容易な事なのか」作者の後記の言葉だ。この本には、占領された国の学校での出来事が書かれている。新しくやってきた支配国の教師の手によって、子供たちの思想がだんだんと誘導されていく……。...
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土屋 賢二『もしもソクラテスに口説かれたら ツチヤ教授の哲学ゼミ』

「わたしはあなたの顔も性格も嫌いですが、あなた自身を愛しています」と言われたら、どう思うだろうか。ソクラテスはこんな論を展開した。「人間が道具を使う時を考えればわかるように、使われる物と使う主体は別々のものである」「人間は身体を使う。だから...
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ロバート・A・ハインライン『夏への扉』

これだよこれ!400ページも読ませるなら、このくらい詰め込んでほしい。その分情景描写は少ないが、場面転換はとてもスムーズ。やはり見せ方次第なんだなぁ。「上げる」、「落とす」の緩急も絶妙。一歩先の展開が読めることもあるが、その前にはひねりがあ...