米澤穂信『いまさら翼といわれても』

読書

久しぶりの古典部シリーズ、安定の面白さ。
連作短編なので、普通ならいくつかいまいちなものが混ざっているものだが、すべてでクオリティが高い。

「箱の中の欠落」
『匣の中の失楽』をもじっているのかとは気付いたが、読んだことはないので内容に関係があるのかはわからない。
生徒会長選挙で起きた問題を解明する話。
私は序盤で真相に気づいたものの犯人が分からずにいたが、なるほどそういう終わり方もありか。
でも動機くらいは知りたかった。

「鏡には映らない」
中学の卒業制作で奉太郎はとんでもないことをやらかして、同級生から恨まれているらしい。
読者視点からすれば、奉太郎がそんなひどいことをするはずがないと信じたいところ。
里志と粋な仕返しがかっこいい。

「連邦は晴れているか」
アニメで見たことがあった。
今思うとアニメの出来良かったなぁ。
タイトルがかっこいい。
どうして調べる気になったのか、奉太郎の気遣いが素敵。
「ヘリコプター好きの先生がいたっけなあ」なんていう日常の何でもない会話から、1つの事件が見えてきて、それに対する主人公の内面も見えてくるとは。

「わたしたちの伝説の一冊」
私はくだらないことに時間を割かないで、実質的な事に力を入れることができているだろうか?

「長い休日」
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」という奉太郎のモットーはどうして生まれたのか。
優しい人なら共感できるはず。
「ばかだって構わない。ただ、つけ込まれるのだけは嫌だ。」

「いまさら翼といわれても」
思春期独特の苦悩わかるなあ。
わがままなんだけど、束縛も困るし、放り出されるのも困る。
その後どうなるのか、続きを読みたい。
タイトルかっこよすぎやしません?


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