12/5(木)、京都旅行に出かけた。
翌日からは有給休暇をとったけれども、今日は仕事をしてから京都に向かう。気分的には朝から旅行が始まっている。キャリーケースを転がしてフレックスで定時より早く出社。終業後に何をしようが自由だし小言を言うような人もいないが、なんとなくキャリーケースは机の下に隠しておく。
重たい仕事は前日までに済ませた。それでもいつもより集中して仕事を進める。普段は控えているコーヒーを飲み、カフェインでギアを一段上げる。コーヒーは好きだけど、常飲すると効かなくなるし確実に睡眠に悪影響だとわかっているから、いざというときのために切り札にしている。
お昼には日課の散歩がてら、宿を借りる友人用にお土産を買いに行った。空港でSNOWサンドを買う予定だけど、時間的に間に合わないかもしれない。売り切れにも備えてフェルム ラ・テールのチーズサンドを選んだ。代わりというにはこちらも人気のお菓子だ。

午後はたぶん話しかけ難いオーラが出ていたかもしれない。普段は割と首を突っ込む方で同僚とコミュニケーションをとるようにしている。でも今日ばかりは仕方がない。とはいえ、上司は出張で不在だし隣の新人も最近は手がかからなくなってきたから、たぶん用もなかったはず。
16時の退勤と同時に新千歳空港を目指す。少しだけ職場を出るのが遅れてもいいように、それでも保安検査に間に合うようにベストなエアポートを前日に予約しておいた。仕事で使うときは領収書をもらうために切符を発券しているけど、今回はチケットレスにしてみた。指定席の確認はどうするのかと思ったら、車掌に求められたらえきねっとで購入履歴を見せればいいらしい。乗車券はGarminのタッチ。切符もスマホもガサゴソしなくていいのは楽だ。
17:02 新千歳空港
予定通り空港に着いた。保安検査の締め切りまでは30分弱。これならSNOWサンドを探す時間がある。SNOWの商品はお店によって取扱商品が多少違うようなので大きい店舗を目指す。しかしSNOWサンドは売り切れ。もう夜だから、1日の在庫分はとっくになくなっていても仕方がない。
それでも数店舗回ったら、スカイショップ小笠原だけはSNOWサンドが積まれていた。入荷量が違うのか?それとも人気商品をエサにするために小出しにしているか。店員にはとうきびチョコをやたらと推された。とうきび味はなかなか珍しいですよ、と。お土産として勧めてくれているのかと思ったら、どうやら僕を道外からの旅行者と勘違いしていた様子だった。もちろん食べたことはあるけど試食をいただいて、「結構しっかりとうきびの味するんですね」と言いながらSNOWサンドを手に取る。
それとわかさいも。京都では和菓子巡りの予定だから、北海道の和菓子を友人に紹介してやらなきゃいけない。それに山わさびプレッツェルとエゾ鹿ジャーキー。ジャーキーは視界の端にペット用という文字が映った気がするけど、たぶん僕が手に取ったのは人間用のはずだ。
荷物を減らすためにキャリーケースにお土産を入れ終わると、保安検査のリミット15分前。少しまずいか?早足でカウンターに行き、荷物を預ける。
保安検査場には行列が待っていた。これは・・・間に合わないかもしれない。別のゲートでもいいのだろうが、この位置からは他のゲートの様子が見えづらい。焦っていると、搭乗予定の便がアナウンスされ、優先案内してくれるという。助かった!と思ったのも束の間、数人案内すると待機ゲートを閉じてしまう。順番に案内しているようだけれど、果たしてそれは僕に回ってくるのか。
やっと検査ゲートまでたどり着いた。締切りまでは5分を切っている。僕の前では外国人旅行者がここでやっと上着を脱ぎ始めて荷物トレーに詰め替えたりトレーを並び替えたりどういう嫌がらせだそれは。お前が頑張ればまだ救われる人がいるかもしれないんだぞ、と、のんびりお土産を選んで試食までしていた自分のことは棚に上げて、NORTH FACEの背中を睨みつける。
自分の準備はできている。ジャケットを脱ぎ、万一引っかかったら怖いのでベルトもタイピンも外した。メガネも外そうかと思った。チケットを表示させたスマホを握りしめる手が少し汗ばんでいる。前の人に続いてゲートをくぐってしまう勢いで前に進んだら、しっかりと係員に制止された。本当にそこまでするつもりはない。
保安ゲートを通り抜けたとき、リミットまで1分だった。保安検査場の大分手前で間に合わなくて騒いでいる人はたまに見かけるけど、検査を受ける直前まで来ていても時間を過ぎたらアウトなんだろうか?それとも係員に案内されるところまで来ていたらセーフ?僕の後ろにはまだ数人いて、彼らは確実に指定時刻を過ぎるはず。気にならないといえば嘘になるけど、その顛末を見届けるような図太さは持ち合わせていない。
17:50 ANA 新千歳発 伊丹行
飛行機が揺れる。札幌はもう雪が積もる季節で、昼間は吹雪いていた。離陸には問題がなかったものの、雲が厚く、気流の影響を受けているようだ。乗り物酔いがひどい僕にはきつい。飛行機は嫌いだ。席は狭いし他人との距離は近いし、体温調整がしづらく暑くなって酔いやすい。景色はたいして見れず、機内の視界も狭い。気圧の変化はもろに来る。
夕方のこの便には仕事終わりのビジネスマン(僕みたいに遊びに行くわけではない)の利用も多いみたいだが、彼らは乗り降りしやすい機体前方に集中している。僕がいる後方のあたりは結構空いていて、隣に人はいない。姿勢を崩せるから少し楽できるのが不幸中の幸いだ。
時間ギリギリになってしまったせいで酔い止めを飲むのを忘れた。頭上の荷物棚からカバンを出せば薬が入っているが、その気力もはない。取り出すときに機体が揺れたら、とうきびチョコを皆さんにおすそ分けすることになりかねない。ここは安静に眠りにつくしかない。でもたぶんひと眠りでは到着しないだろう。飛行機の2時間は長い。高速で動くと時間がゆっくりになるせいだ。
19:50 伊丹空港
荷物の受け取りのため、知らない人の後ろをついていく。修学旅行か就活で来たことのある空港のはずだけど、覚えはない。受取場所までずいぶん歩かされた気がする。途中、動く歩道は助かった。揺れないから酔わない。あらゆる乗り物の中で自転車と動く歩道だけは僕の味方だ。すべての道に動く歩道を敷設しよう。地球の衛星軌道上に宙づりにして自転エネルギーで動かせば環境問題もばっちり。その上を自転車で移動すればなんと効率的か。

※カッターナイフは機内にお持ち込みできません。
伊丹空港から京都へ向かうには、まずは大阪モノレールに乗る。当初は乗り換えが少ない方が楽かと思い、南茨木まで行って阪急京都線に乗り換えるつもりだった。今は少しでも乗り物に乗っていたくない。地に足を着けた生き方が大事。蛍池ですぐに宝塚本線に乗り換え、十三駅で阪急京都線に乗り換える。早い段階から準特急に乗れるので、乗り換えの少ないルートより20分ほど速く着く。
阪急京都線はかっこいい。えんじ色の車体がレトロながら高級感がある。座席もふかふかで座り心地がよい。車体が揺れるたびに、僕の脳を3次元の動きでふわふわにしてくれる。こうまで揺れる場合、目を瞑ると余計に気持ち悪くなってしまう。窓の外を見ようにも、正面は「優先席」と書かれたカーテンを閉められている。帰宅ラッシュは過ぎたものの、少なくない人たちの隙間から見える窓の外は暗いか、建物が近すぎて目を向けるのがつらい。また酔い止めを忘れた。
阪急京都線は大阪と京都を結んでいて、乗り始めた十三駅は大阪の中心部寄りだ。京都までは1時間くらいだから通勤圏内のはずで、上り下りどちらも利用者は多いことだろう。となるとこのままほとんど人が減ることなく京都まで行く可能性もあるか?満員ではないがものの、この混み具合が続くのはしんどい。
周りの会話に聞き耳を立てると、どうやら京都弁よりも大阪弁の感じがする。そりゃあそうだ。通勤圏内といっても、1時間のかかる距離をそう沢山の人が利用しているのは考えづらい。時間帯的には帰宅客がメインで、たいていは大阪府郊外で降車し、これから京都中心部へ向かう人は少ないはずだ
少し気が楽になった。とはいえ乗り物酔いしない暇つぶしというのはなかなか無いので、大阪府民の様子を観察してみる。
おしゃべりをしている人が多い。会話の内容は何てことないけど、楽しそうに会話している。大阪府民の印象通りおしゃべりが好きなんだろうか。最近自分が利用している札幌の地下鉄はなんだか乗客がギスギスしているのだけど、そういう息苦しさを感じなかった。大阪の人が北海道の公共交通機関に乗ったら、静かすぎて驚くだろうな。
服装はおしゃれじゃない。ウールのコートではなく、化繊のショート丈の上着ばかり。冬の服装は北海道民の方がおしゃれだな。寒くないから必要ないというのが最たる理由なんだろうけど。でも薄手のダウンを着ている人はいるのちょっと不思議だ。スーツも化繊が多いな。繊維産業が盛んなのにもったいないなと思う。
21:30頃 京都市
偉そうなことを考えながら乗り降りする人をジロジロ見ているうちに、京都の目的の駅に着いた。予想通り乗客はだんだん減っていて、気づけば地下に入っていた。
地上は、札幌ほどではないが冷たい澄んだ空気をしていた。マフラーと手袋をつける。中心部のはずだが、都会臭さは感じない。自然が多いからだろうか。

宿に着くころには22時近いだろう。歩きながら深呼吸して乗り物酔いを醒ます。早く休んで明日からの旅程に備えなければ。
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