柚木麻子『本屋さんのダイアナ』

読書

私に命令できるのは、この世界で私ひとりだけ……。
私の名は、矢島大穴(ダイアナ)。変な名前も金髪もはしばみ色の瞳も大嫌いだった、あの子に出会うまでは。心ふるえる最強のガール・ミーツ・ガール小説。
私の名は、大穴(ダイアナ)。おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、はしばみ色の瞳も大嫌い。けれど、小学三年生で出会った彩子がそのすべてを褒めてくれた――。正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。地元の公立と名門私立、中学で離れても心はひとつと信じていたのに、思いがけない別れ道が……。少女から大人に変わる十余年を描く、最強のガール・ミーツ・ガール小説。

キャバ嬢を親に持つ小学生の女の子矢島大穴(ダイアナ)は、読書という共通の趣味をきっかけに彩子と仲良くなる。
自分の名前も親に染められた髪も家庭環境も気に入らないダイアナは、彩子の落ち着いた風合いの持ちものや家庭環境をとてもうらやましく思う。
しかし、逆に彩子にとっては厳しい家庭環境よりも、自由にゲームで遊んだりジャンクフードを食べたりできるダイアナの家やきらきらした持ち物がまぶしく見える。
お互いにないものを持つ者同士仲を深めていくが、ふとしたことからすれ違い、小学校を卒業してから10年間も交流が途絶えてしまう。
再会までの間、二人は別々の人生を歩んでいくが、互いの理想を備えていた人物として心のどこかで意識してしまっている。

題名からするとダイアナが主人公のように思えるが、彩子も同時に主人公であるし、他の登場人物たちの背景も描かれていて、それぞれの人生がある。
正反対のスタート地点から始まったダイアナと彩子は互いを理想として近づこうとしながらも、物語のラストでは思い描いていた場所とは違うところに至る。
人生において重要なのはスタート地点や家庭環境だけではない。まずは自分の意志と、家族よりもっと広い交友関係における人との関わり方だ。

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