住野よる『また、同じ夢を見ていた』

読書

『君の膵臓をたべたい』でデビューした住野よるさんの2作目。

『君の膵臓をたべたい』は病気の女の子の話、今回は「幸せとは」というテーマに真正面からぶつかった作品。
どちらも珍しくない設定だが、書き方でこんなに新しくなるんだと思い知らされた。
2作目でこれはすごい!

主人公の奈ノ花は頭はいいが、それゆえに周りを少しばかりバカにした感じのある小学生。
学校での授業をきっかけに、「幸せとは何か」について考え始める。
そして、答えを探るため、毎日放課後に訪問している数少ない友人たちを頼る。
しっぽの短いネコ。
水商売のお仕事をするアバズレさん。
リストカットの傷のある南さん。
一人暮らしをするおばあちゃん。
奈ノ花が気づきを得ていくのと同時に、奈ノ花と触れ合う人たちも幸せについて考えを深めていく。

登場人物ではアバズレさんが一番好きだ。
奈ノ花を抱きしめるシーンでは、もっと自分を大切にするべきだったという後悔が伝わってくる。
自己中心的でない、純粋な自己愛が美しい。

アバズレさんの「幸せとは」の答えにも共感。
自分を大切にするということは、自分の置かれている環境を大切にするということで、つまり周りの人の幸せが重要になってくる。
さらに言えば、他人の幸せを願えるというのは、それだけで幸せではないかと思う。

住野よるさん、次回も期待。

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