「未来予報 あした、晴れればいい。」
「手を握る泥棒の物語」
「フィルムの中の少女」
「失はれた物語」
以上4つの短編が収録されている。
すべて毛色の違う物語であるが、共通項として「切なさ」が感じられる。
「さみしさの周波数」というタイトルは、うまく表現したものだ。
そして、ふつう短編集を読むと好きな作品とそうではない作品が出て来るものだが、この本はすべてに何らかの魅力を感じる短編集だった。
たった一冊の本で、やるせない気持ちになり、心が和み、ハラハラし、号泣した。
それでもあえて一つ挙げるなら、「未来予報 あした、晴れればいい。」を選ぶ。
私は「縁」という考え方を大切だと感じていて、人とのつながりは運命でも奇跡でもないと考えている。
つまり、出会うことも出会ってからどうするかも自分の意志と行動次第、運命と奇跡の中間といったところだ。
この物語は男女のすれ違いの物語でもあるのだが、今の考え方をしている私にはその様子がとてももどかしい。
しかし、読み終えた後には、その「はっきりとしたつながりがあるわけではないけれど、どこかで確かにつながっている」という関係がとても美しく思えてくるのだ。
50%OFFセールをやっていたので電子書籍として購入したのだが、紙で買えばよかったと後悔している。
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